
質問の概要
開業資金を安く済ませられるのは、ネットショップの大きなメリットです。しかし、安さだけを重視して開業方法を選ぶとあとで後悔することになります。どこにお金をかけ、どこを節約するか、ちゃんと考えて予算を考えましょう。

実店舗を開業するのと同じように、いろいろと出費はかさむぞ。ただ、実店舗を開業するよりかは安く済むがな。

え、ほんとう!? できるだけ安くオープンしたいの。

だったら無料で始められるネットショップ作成サービスもあるぞ。しかし、無料なぶん、ちゃんと運営にお金と手間をかけるんじゃぞ。

ん〜、どういうこと? できるだけ安く始めて、いっぱい儲けたいんだけど!
ネットショップの開業に必要な資金
ネットショップ開業に必要な資金は、
- 初期費用
- 月額費用(ランニングコスト)
にわけられます。
実店舗と比較してネットショップの初期費用とランニングコストはかなり安く済みます。おおよその内訳をあげてみます。
- 物件取得費(店舗用物件を契約するための敷金・礼金・保証金など)
- 店舗改装費(看板や店内のレイアウト、商品棚など)
- 商品の仕入れ代
- 倉庫代(在庫をストックさせておく場所代)
- 宣伝広告費(街頭で配るチラシやタウン情報誌の広告スペース)
- 人件費
開業時、これだけを完璧にまかなえるお金を用意するのはなかなか難しく、自己資金では足りず借金して開業する人も多いです。開業後の運営途中でも、ランニングコストが売上を上回り借金を増やしてしまう例も珍しくありません。
一方、ネットショップも同じような費用がかかりますが、その金額は実店舗と比較して何十分の1程度です。どのようなお金が必要なのか、ざっくり見ていってみましょう。
サイト作成費用(初期費用+月額費用)

実店舗を開業するときと同じように、ネットショップも商品を売る場所が必要です。ショピング機能を備えたウェブサイトですね。
ネットショップを作成する方法には下記の5つの方法があげられます。およそ必要な初期費用と月額費用の額も横に書き入れてみました。
- 制作会社へ依頼する:制作費50万円〜300万円
- 無料サービスを利用する:0円、タダ
- 有料サービスを利用する:初期費用1万円+月額5000円〜
- ショッピングモールへ出店する:出店登録料60,000円+月額19,500円〜(例:楽天)
制作会社へ依頼すると、予算に合わせてオリジナルのネットショップを作ってくれます。だいたい他の方法より値段が高くなりがちなので、多くの人は、ネットショップに特化した作成サービスを利用します。
ネットショップ作成サービスには無料のものと有料のものがあります。無料のものは、デザインがあらかじめ決められていたり、機能も最低限ネットで商品を販売するために必要なものだけに制限され、売上アップへの技術的なサポートなども付いていません。
有料のものになると、デザインの自由度があがりオリジナルのネットショップを実現しやすくなります。ネットショップとしての機能だけでなく、専任のサポートスタッフを付けてくれて一緒に売上を増やす方法を考えてくれたりもします。
楽天やYahooショッピングのようなインターネット上のショッピングモールへ出店する方法も人気です。モールがすでに抱える多くの顧客がアクセスしてくれることを期待できます。ただ初期と月額の出店料はかなり高額なので、売るための努力もかなり必要になります。
仕入れ代

商品を購入と同時にお客様へ引き渡す実店舗の場合、売りたい商品はすべて仕入れる必要があります。売りたい商品がすべて売れるとは限らず、中にはまったく売れず、もじどおりお荷物となってしまう商品もあります。その場合、仕入れ代=赤字です。
ネットショップの場合は、必ずしも売りたい商品を仕入れる必要はありません。
「ドロップシッピング」という形態は最近流行っている「在庫を一切持たずにネットショップを始める方法」です。在庫はメーカーや仕入れ問屋が持ち、ネットショップのオーナーは商品をネットで販売することだけに集中します。商品が売れれば、メーカーがお客様へ直接商品を発送します。ショップオーナーは在庫を抱えるリスクを避けられ、メーカーはショップオーナーの販売力を利用できます。このような形態にすれば仕入れ費用はゼロでネットショップを開業できます。
人件費

実店鋪の場合は、売り場面積に合わせた販売員が必要です。商品の種類が多ければ、仕入れや発送など業務ごとに人員を用意しなければなりません。ネットショップも同じです。
ただ、ネットショップには売り場の面積にあたる概念がありません。ネットショップひとつで同時に大勢のお客様へ対応することが可能です。ネットショップを更新するために、商品登録を行うアルバイトや、商品画像を作成するデザイナーというように、役割ごとにスタッフが必要になることはありますが、実店舗より少ない人手で大きな売上を生み出すことができます。
在庫管理費

絶対に商品を仕入れる必要があるわけではない、ということは先に説明したとおりです。在庫に抱える商品の数を厳選すれば、在庫をストックさせておくスペースを最小限にできます。結果、場所代を節約できます。
在庫を管理するシステムは、ネットショップの販売機能と一緒に備わっていることがおおいです。ネットショップを更新するときに在庫の数を入力しておけば、売れたぶんを自動的にカウントし、売り切れになると教えてくれます。改めて在庫を管理する従業員を雇ったり、在庫管理のシステムを別に用意する必要はありません。
顧客管理費

顧客を管理する機能もだいたいのネットショップには備わっています。
お客様が商品を購入するときに名前や住所を入力する仕組みを「フォーム」といいます。フォームに用意しておく入力項目は、ネットショップのオーナーが自分で決められます。商品購入時にお客様から得たい情報があれば、フォームへ用意しておきます。
誕生日は、よくある例です。誕生日が近づくと、お祝いの言葉といっしょにおすすめの商品のリストがメールで届きます。顧客情報には、過去の購入履歴も残っています。その履歴をさかのぼり、定期的に不足する商品(例:ミネラルウォーターや洗剤)をプッシュするメールなども送れます。
注意したいのは、お客様は余計な個人情報を知らせるのが嫌いだということです。フォームに、商品の購入や発送以外に必要な入力項目があれば怪しまれます。せっかく買う気になってくれたお客様を失うことになります。
また、預かった個人情報をちゃんと保管することも求められます。最近、大手の企業が情報漏洩の被害に遭う例が少なくありません。ネットショップでは、クレジットカード番号のような、個人の財産にリスクを与える重要な情報も扱います。漏洩してしまわないよう慎重に扱うのはもちろん、売上をアップしたいからといって、無闇に個人情報を得ようとするのはやめましょう。
開業資金が少ないのはメリット?
ネットショップを開業するにあたって必要な費用はいままで見てきたとおりです。いろいろありますが、実店舗をオープンするよりかは安くて済みます。開業資金が安くて済むおかげで、お小遣い稼ぎの趣味や副業でもチャレンジできるほどハードルは下がりました。
しかし、それによって、ネットショップの数は増える一方です。参入障壁が下がるなか、競争はどんどん激しさを増します。ただ作成したネットショップに商品を並べておけば売れる時代ではありません。
開業に使ったお金が少なくても、売上を一切生み出さないお店なら、持ち続けることが負債といえます。そんな失敗を招かないためには、開業で浮いたお金を運営時の売上アップ用の投資に回すことを検討しましょう。ネットショップと相性が良い、検索へ連動して広告を表示できる「リスティング広告」がおすすめです。
